内省クラスで、相談者さんと一緒に見つけてきたことをもとに書いています。例や工夫は、分かりやすくするために添えています。
この記事について
こんにちは、田尻愛です。「自分を犠牲にしない生き方」を伝えるメンケアの学校を主宰しています。
内省の専門家として、これまで累計3000件以上の内省クラスに立ち会ってきました。やりたいことがわからないという漠然としたモヤモヤの中から、その方がやりたいことを見つけていく。そんな時間を、たくさん見てきました。
この記事では、やりたいことの見つけ方をお話ししていきますね。
「やりたいことが分からない。本当はどうしていきたいのか、自分の本心が見えない」
「やりたくないけど、やらなきゃいけないからやる。何が嫌なのか、自分でもわからない」
「変わりたいと思いながら、もう何年も同じ場所にいる気がする」
そんな声を、何度もお聞きしてきました。やりたいことがわからないは、表向きが順調なときほど強く鳴ります。だから誰にも言えない。「贅沢な悩みだよね」と、自分で蓋をしてしまうんですよね。
——じつは、わたし自身も長いあいだ、「このままでいいんだっけ?」という問いを胸に抱えたまま、それを見ないようにして走り続けていた時期がありました。内省クラスでも、こんな声をよくお聞きします。
でもこれは、あなたに能力や行動力がないからでも、甘えているからでもないんですよね。
原因は、「変わりたい」と願いながら、いまが一番居心地のいい『現状維持』になっていること。だから「やりたいことがわからない」まま、足だけが動かないんです。
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目次
1. なぜ「やりたいことがわからない」が続くのか|運転席と助手席という心の仕組み
2. 「やりたいことがわからない」人に現れる5つのサイン
3. 「分からない」をほどく7つの内省ステップ
4. 「やりたいことがわからない」がほどけた人に起こる3つの変化
5. よくある3つの誤解と、つまずきポイント
6. おわりに|やりたいことは、探すのではなく見えてくる
1. なぜ「やりたいことがわからない」が続くのか|運転席と助手席という心の仕組み
やりたいことがわからないという状態を、わたしの内省クラスでは「自分の人生の運転席が空いたまま、助手席に座っている状態」と捉えます。ある内省クラスで、わたしは相談者さんにこうお伝えしました。
やりたいことがわからないのは、行き先を自分で決めていないから。誰かや状況がハンドルを握っている車の助手席では、そもそも「どこへ行きたいか」を考える必要がありません。だから、いざ訊かれても答えが出てこないんです。
ここでひとつ、押さえておきたい構造があります。それは、同じ毎日を生きていても、助手席に座っているか、運転席に座り直しているかで、「やりたいこと」の見つかり方がまるで変わるということ。
周りや状況に流されて、行き先が決まっていく
自分で選んで、自分でハンドルを握る
状況が変わってくれるまで、不安が消えない
不安はあっても、自分で選んでいる手応えがある
訊かれても答えが出ない。探しても見つからない
自分で選ぶうちに、行き先がはっきりしてくる
いちばん下の段が、この記事でお伝えしたいところです。助手席にいる限り、やりたいことは探しても見つかりません。でも運転席に座り直すと、「じゃあ、どこへ向かおうか」がはじめて自分の問いになる。そこからやっと、行き先が見えてくるんですよね。
ある相談者さんは、状況が大きく好転したあとでも、こんな違和感を話してくれました。
これはまさに、問題は外の状況ではなく、運転席が空いていることのほうにあると気づいた瞬間の言葉なんですよね。
「やりたいことがわからない」が強くなる3つの瞬間
やりたいことがわからないという感覚は、いつも一定で鳴っているわけではなくて、特定の場面で一気にボリュームが上がります。内省クラスでよくお聞きするのは、次の3つです。
① 状況が良くなったのに、なぜか満たされないとき
② 年齢の節目に立ったとき
③ 周りと比べて、焦りがわいてきたとき
この3つに共通しているのは、目が「外側の条件」のほうに向いているということ。お金、年齢、他人の進み具合——どれも自分の内側ではなく、外にある物差しなんですよね。では実際の内省の場では、どんなふうに出てくるのでしょう。相談に来てくれた方の言葉から、ひとつずつ見ていきますね。
① 状況が良くなったのに、なぜか満たされないとき
先ほどの「お金はあるのに幸せ度は変わらない」という言葉のように、外側の条件が整ったときほど、内側の空白がくっきり見えてしまうことがあります。「これだけ手に入れたのに、まだこの感じなの?」——ここで多くの方が、はじめて問いの正体に向き合い始めます。
② 年齢の節目に立ったとき
冒頭でお聞きした「もう36歳だし、このまま何も変わらないのかな」という言葉のように、やりたいことがわからないは、時間が過ぎていく感覚と結びつくと、一気に「このまま歳をとっていくのが怖い」という焦りに変わるんですよね。
③ 周りと比べて、焦りがわいてきたとき
別の相談者さんは、趣味で山に登っている最中に、自分の癖に気づいたそうです。次々と自分を追い越していく人。もう頂上から降りてきて、すれ違っていく人。周りの速度ばかりが目に入って、自分の一歩に集中できない。——これは、山の上だけの話じゃない。ふだんの毎日でも、まったく同じことをしている。そう気づいたときの言葉です。
やりたいことがわからないの裏側には、たいてい「あの人はもう先に行っているのに」という比較のスイッチが隠れています。
この3つの瞬間が積み重なって、やりたいことがわからないは少しずつ大きな音になっていきます。
2. 「やりたいことがわからない」人に現れる5つのサイン
やりたいことがわからないを抱えている人の日常には、自分でも気づきにくい癖が出てきます。ここでは内省クラスでよくお聞きする、典型的な5つのサインを挙げますね。まずは、いまのご自身に当てはまるものがないか、見てみてください。
- ✓「やりたいことが分からない」が口癖になっている
- ✓「本当にやりたいこと」のはずなのに、後回しにしてしまう
- ✓自分で決めているようで、いつも「変な方向」に決めてしまう
- ✓身体が「ムズムズする」「気持ち悪い」とサインを出している
- ✓「分からない」と言っておけば、向き合わずに済んでいる
3つ以上当てはまるなら、運転席が空いたままになっているサインかもしれません。これは欠点の診断ではなく、いまどこに座っているかを確かめるための目安です。
サイン1:「やりたいことが分からない」が口癖になっている
ある相談者さんが、苦笑まじりにこう話してくれました。
やりたいことがわからないを抱える人は、この言葉を定期的に繰り返します。これは能力の問題ではなく、運転席に座る前に、いつも引き返してしまう癖が、言葉になって出てきているサインなんです。
サイン2:「本当にやりたいこと」のはずなのに、後回しにしてしまう
これは少し意外なサインです。ある相談者さんは、申し込みを後回しにして締切を逃したあと、こう話してくれました。
やりたいと言いながら足が動かないとき、そこには「動かないでおく」という無意識の選択が隠れています。これは責めるところではなく、よく観察したいポイントなんですよね。
サイン3:自分で決めているようで、いつも「変な方向」に決めてしまう
ある相談者さんは、自分の癖をこう話してくれました。
やりたいことがわからない人は、決断していないわけではなく、いつも『現状維持に戻る方向』へ決めてしまう癖を持っていることが多いんです。
サイン4:身体が「ムズムズする」「気持ち悪い」とサインを出している
ある相談者さんは、自分の違和感をこう表現しました。
頭では分からなくても、身体のほうが先に「この方向は違う」と知らせてくれていることがあります。わたしは内省クラスで、車にたとえてこうお伝えします。「アクセルを踏みながら、同時にブレーキも踏んでしまう。だから違和感を抱えたまま、前に進めない。これはどんな方にも起きることなんです」。ムズムズは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるサインなんです。
サイン5:「分からない」と言っておけば、向き合わずに済んでいる
少し痛いサインですが、大切なところです。わたしは内省クラスで、こうお伝えすることがあります。
やりたいことがわからないの「分からない」は、本当に分からないのではなく、分かってしまうと動かなければいけなくなるから、分からないことにしておく——そういう優しい防御であることが、よくあるんですよね。
3. 「分からない」をほどく7つの内省ステップ
ここからが本題。やりたいことがわからないをほどく、というのは「無理に大きな決断をする」ことではありません。やることは、空いていた運転席に、少しずつ座り直していくこと。行き先を自分で決められるようになると、やりたいことは向こうから姿を現します。順番に見ていきますね。
1
「やりたいことがわからない」自分を、責めるのをやめる
2
現状維持が「一番ラク」であることを、正直に認める
3
「分からない」の下にある、「分かると傷つく」に気づく
4
毎日ひとことだけ、「自分がどうしたいか」を書く
5
他人の声ではなく、自分の心の声を拾いにいく
6
アクセルとブレーキを、同時に踏んでいないか見る
7
小さく一つだけ、「変える選択」を取る
Step1:「やりたいことがわからない」自分を、責めるのをやめる
最初にいちばんお伝えしたいのは、「何年も同じことを言っている自分はダメだ」と力むのを、まずやめるということ。「分からない」という言葉が出てくるのは、あなたの内側のセンサーがちゃんと動いている証拠です。「分からないって思えるところまで来たんだな、ここまで頑張ったね」と、まずは認めるところから。自分を責めることが、いちばん足を重くしているんです。
🔑 自分を責めないためのコツ
「なんで分からないんだろう」と考えはじめたら、その問いを「いつから分からなくなったんだろう」に置き換えてみてください。前者は自分を裁く問いですが、後者は事情を聞く問いです。同じことを考えていても、責める側から聞く側に回れます。
Step2:現状維持が「一番ラク」であることを、正直に認める
これは内省クラスでも核心としてお伝えする視点です。
変われないのは意志が弱いからではなく、今のままが一番ラクだから。ここを責めずに「そうだよね、ラクだもんね」と認められると、はじめて「それでも動きたいか?」という問いが、自分のものになります。
🔑 正直に認めるためのコツ
「変わりたい」と書いた紙の裏に、「変わらないでいると、何が守れているか」を書き出してみてください。時間、お金、人間関係、失敗しない安心。ちゃんと守れているものが並びます。ここが見えると、現状維持は怠けではなく「自分で選んでいたこと」だと分かります。
Step3:「分からない」の下にある、「分かると傷つく」に気づく
「やりたいことが分からない」の下には、しばしば別の本音が隠れています。わたしは内省クラスで、こうお伝えすることがあります。
本当はうっすら分かっている。でも、認めると動かなきゃいけない、傷つくかもしれない。だから「分からない」にしておく——その構造に気づくだけで、問いの濃さが変わります。
🔑 隠れた本音に気づくコツ
「分からない」と言いたくなったとき、心の中で一度だけ「じゃあ、もし分かっていたとしたら?」と続けてみてください。多くの場合、答えより先に「それを認めたら困ること」のほうが浮かびます。そこが本当の入り口です。
Step4:毎日ひとことだけ、「自分がどうしたいか」を書く
ある相談者さんは、変化のきっかけをこう話してくれました。
運転席に座り直す感覚は、大きな決断で取り戻すのではなく、毎日「自分はどうしたいか」を一行書くことで、少しずつ戻ってきます。最初は「分からない」が連発しますが、それでOK。「分からない」と書ける時点で、センサーは動き始めています。
🔑 毎日続けるためのコツ
一行でやめること。それと、「今日は何がしたかったか」が出てこない日は、「今日、何が嫌だったか」でOKです。嫌のほうが先に出てくる日は、そちらを書く。嫌を裏返すと、たいてい「本当はこうしたかった」が顔を出します。
Step5:他人の声ではなく、自分の心の声を拾いにいく
わたしがよくお伝えするのは、「自分の本心が見えない」のには時代的な理由がある、ということ。
周りの「普通はこうだよね」の音量が大きすぎて、自分の小さな声がかき消されているだけ。だから、音を下げて拾いにいく時間が要るんです。
🔑 周りの音量を下げるコツ
SNSを閉じた直後の10分を使ってください。人の進捗を見た直後は、いちばん自分の声が聞こえなくなっている時間です。逆に言えば、その10分をあけるだけで、比較の音量はかなり下がります。
Step6:アクセルとブレーキを、同時に踏んでいないか見る
サイン4でお伝えした「ムズムズ」を、ここで使います。何かをやろうとするたびに違和感が出るなら、前に進みたい気持ち(アクセル)と、進みたくない気持ち(ブレーキ)を同時に踏んでいないかを見てみてください。多くの場合、ブレーキ側に「失敗したら傷つく」「変わったら今の関係が崩れる」という、もっともな理由が隠れています。片方の足の理由が見えると、車はゆっくりと動き出します。
🔑 ブレーキを見つけるコツ
「やらない理由」を3つ書き出してみてください。そのうち2つは、たいてい建前です。残った1つに「失敗」「人間関係」「お金」のどれかが混ざっていたら、それが本当のブレーキ。踏んでいる足が見えれば、外すかどうかを自分で選べます。
Step7:小さく一つだけ、「変える選択」を取る
最後のステップ。わたしは内省クラスで、少し厳しめにこうお伝えしたことがあります。
「やりたいことがわからない」は、考え続けても解けません。解けるのは、ほんの小さな『変える選択』を一つ取ったとき。人生をひっくり返す必要はありません。今日の一つの判断を、現状維持じゃないほうに倒す。それだけで運転席に手が届きます。
🔑 小さく選ぶコツ
今日の予定の中から、「いつもと違うほうを選べるもの」を1つだけ決めてください。帰り道、昼ごはん、返信する順番——なんでもかまいません。大事なのは中身ではなく、「自分で選んだ」という手応えのほうです。
4. 「やりたいことがわからない」がほどけた人に起こる3つの変化
やりたいことがわからないという状態が、運転席に座り直すことでほどけてくると、日々の感じ方が変わっていきます。内省クラスで実際に起きた変化を、3つに分けてお伝えしますね。
先に行く人を見ては、置いていかれる気がして焦る
休みながらでいい。自分の速度で一歩ずつ進める
自分に降りかかってきた災難として受け取る
自分の道の途中にある、意味のある出来事になる
相手の言動に、そのつど反応して振り回される
何が起きても、まず自分のハンドルに手が戻る
変化1:焦りが減って、自分のペースで進めるようになる
ある相談者さんが、登山の経験を通してこう話してくれました。
他人の速度ではなく、自分の速度で進む感覚が戻ってくると、「やりたいことがわからない」焦りは少しずつ小さくなります。
変化2:起きた出来事が、次の選択につながって見えてくる
同じ相談者さんは、その後の変化をこう話してくれました。
ここで言う「意味がある」は、どんな不幸にもいいことがある、と思い込むことではありません。その出来事が、自分の選択とつながって見えるようになる、ということです。
たとえば、職場で理不尽な扱いを受けたとき。助手席にいると、「なんで自分ばっかり」で終わります。でも運転席に座っていると、「自分はこの環境を選んで、まだここに居続けている」というところまで見えてくる。すると、耐えるのか、動くのか、相手に伝えるのか——次の一手が自分の手に戻ってきます。
意味とは、あとから付ける教訓ではなく、いま自分に残されている選択肢のことなんですよね。
変化3:外のリアクションに振り回されず、自分を保てる
ある相談者さんは、変わりたい理由をこう話してくれました。
自分の運転席に座っていると、外で何が起きても、まず自分のハンドルに手が戻る。これが、いちばん健康な「やりたいことがわからない」の終わり方です。
5. よくある3つの誤解と、つまずきポイント
誤解1:「やりたいことが見つかれば、解決する」ではない
やりたいことがわからないを、「やりたいことさえ見つかればいい」と考える方はとても多いです。でも、本当のつまずきは『見つからないこと』ではなく、現状維持の居心地のよさのほうにあります。わたしはこの状態を、こうお伝えしています。「仕方ない、こうするしかない、今のままを延長するのがベスト——そういう状態で、残りの人生を何十年と過ごしていくのか」。やりたいことを探す前に、まず「今のままを延長する」という無自覚な選択に気づくこと。順番はこちらが先です。
誤解2:「大きく人生を変えないと意味がない」ではない
転職、移住、独立。やりたいことがわからないを、大きな決断でしか解けないと思い込むと、ハードルが高すぎて結局動けなくなります。でも、Step7でお伝えしたように、効くのは『小さな変える選択を一つ取ること』。判断の連続の結果が今なら、今日の小さな一判断から、未来は確実に変わり始めます。
誤解3:「違和感(ムズムズ)は、消すべきもの」ではない
やりたいことがわからないというモヤモヤや、身体のムズムズを、「早く消したい不快なもの」として扱うと、いちばん大事なセンサーを切ってしまうことになります。違和感は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいることを知らせてくれる、あなた専用の計器。消すのではなく、「今どっちの足を強く踏んでいるんだろう」と読みにいくもの。違和感を味方にできた人から、運転席に戻っていきます。
💡 ここがいちばん大事なポイント
「やりたいことがわからない」は、探して見つけるものではありません。今日の小さな一つの判断を、現状維持じゃないほうに倒す——それだけで、助手席にいたあなたの手が、少しずつハンドルに届きはじめます。
6. おわりに|やりたいことは、探すのではなく見えてくる
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
やりたいことがわからないと検索して、この記事にたどり着いた時点で、あなたはもう半分くらい、自分の答えを知っているはずです。「今のままを、ただ延長したいわけじゃない」「本当は、自分でハンドルを握りたい」——その感覚に名前がついたなら、あとは小さな一つの選択から、運転席に座り直していくだけ。
人生をひっくり返さなくていいし、やりたいことが今すぐ見つからなくてもいい。「やりたいことがわからない」と言えること自体が、あなたの内側のセンサーがちゃんと生きている証拠です。 その問いを、責めるのではなく、進路を選び直す合図として受け取れたとき、助手席のあなたは、もう運転席に手を伸ばし始めています。
\ ここまで読んでくれた、あなたへ /a small gift for you
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