完璧主義をやめて「不完璧主義」へ|内省の専門家が伝える「8割で十分」を心から思える7つのステップ

完璧主義をやめて「不完璧主義」へ|内省の専門家が伝える「8割で十分」を心から思える7つのステップ

内省クラスで、相談者さんと一緒に見つけてきたことをもとに書いています。例や工夫は、分かりやすくするために添えています。

この記事について

「完璧主義をやめたいのに、ちょっと手を抜くと不安で結局やりすぎてしまう」

「8割できているのに、できていない2割ばかりが気になって苦しい」

「もう十分なはずなのに、納得いくまで仕上げたくて、いつまでも手放せない」

そんな声を、これまで何度もお聞きしてきました。

こんにちは、田尻愛です😌
「自分を犠牲にしない生き方」を伝える、
メンケアの学校を主宰しています。

内省の専門家として、
累計3000件以上の内省クラスで、
たくさんの方が「100点じゃない自分を、そのまま許していく時間」に、
立ち会ってきました。

この記事では、
「完璧主義をやめて、8割で十分と心から思えるようになる方法」
というテーマで、お話ししていきますね。

きちんとしようとするほど、苦しくなる。
8割で出せばいいと、頭では分かっている。
なのに、どうしても手放せない‥

そんなしんどさを抱えている方は、
思っているより、ずっと多いんですよね。

じつは、わたし自身も、
営業の仕事をしていた頃、
同期はみんな売れているのに、
わたし1人だけ、契約が取れなかった時期がありました。

「なんで、わたしは人よりも、
これができないんだろう。
あれができないんだろう」と、
自分のできないところを箇条書きにして、
何度も何度も見返していたんです。

契約が0のときは、
ひたすら、自分は役に立たない人間だと、
自分を嫌悪していました。

そうやって、自分で自分の首を、
絞めていたんですよね。

内省クラスでも、
「わたしは、すべてを完璧にしたいっていう性格だった」と話す方や、
「これ以上完璧を目指す必要がないくらい全部持っているのに、
足りないものとして自分を見ていた」と気づいていく方が、
たくさんいらっしゃいます。

そんな方に、
わたしがお伝えしたのが、この言葉です。

田尻愛
田尻もう十分に丸いのに、もっと丸くなれと言い続けるのは、無理なんです。

でも、これは、あなたの理想が高すぎるからでも、
努力が足りないからでもないんです😌

原因は、
「不完璧な自分を、完璧にしなきゃ」と思い込んでいること。

でも本当は、
不完璧なままで、もう十分なんです。
欠けているところも含めて、
まるごとで、完璧なんです。

だから、完璧を目指すほど、
今できていることが見えなくなる。

やることは、
足りないところで、自分を責めるのをやめて、
今できていることに気づいて、
自分を、ゆっくり緩めてあげることなんです。

この記事では、

  • なぜ完璧主義になってしまうのか(減点法のメガネ)
  • 完璧主義の人に共通する5つのサイン
  • 今日から始められる、完璧主義を手放す7つのステップ

この3つを通して、
「完璧主義に縛られず、8割で十分と心から思える方法」を、
内省クラスでお話ししている内容をもとに、お伝えしますね。

では、本題に入っていきましょうね。


■ 目次

  1. なぜ完璧主義になってしまうのか — 完璧主義の正体は「減点法のメガネ」
  2. 完璧主義には2種類ある — 苦しくなる完璧主義 と 楽しくなる不完璧主義
  3. 完璧主義の人に共通する5つのサイン
  4. 完璧主義を手放す7つのステップ
  5. 完璧主義を手放した人に起こる3つの変化
  6. よくある誤解と、つまずきポイント
  7. おわりに:あなたはもう、十分に足りている

■ なぜ完璧主義になってしまうのか — 完璧主義の正体は「減点法のメガネ」

「完璧を目指す=正しいこと」ではない!?

「完璧主義」という言葉を辞書で調べてみると、
こんな説明が出てきます。

物事を完全になし遂げないと気がすまない性格や態度。

ここに書かれているのは、あくまで
「とことんやり遂げたい気質」という、淡々とした説明です。

だから、多くの方が
「完璧を目指すのは、まじめで立派なことだ」と受け取ってしまう。
それも、ごく自然なことですよね。

ただ、この説明だけでは、
なぜ完璧主義がここまで人を疲れさせるのかまでは、
見えてきません。

内省クラスで、
相談者さんの心と向き合ってきた中で、
もう一歩奥に進んだ景色が見えてきました。

完璧主義の正体は「減点法のメガネ」をかけ続けている状態

完璧主義で苦しんでいる方の心の中で、
本当に起きていることは、こうです。

最初から自分を100点に置いておいて、
できていないところを見つけるたびに、
心の中で点数を引いていく。

この「引き算で自分を見るクセ」を、
わたしは「減点法のメガネ」と呼んでいます。

このメガネをかけていると、
何をやっても満点には届きません。

8割うまくいっても、
残りの2割の「できなかったこと」だけが、大きく見えてしまう。

だから、どれだけ頑張っても、
「まだ足りない」という感覚が消えないんですよね。

減点法のメガネ → 100点が当たり前 → できない所だけが目につく
加点法のメガネ → 0点からスタート → できた所が積み上がっていく

同じ1日を過ごしても、
減点法のメガネで見ると、
「あれもできなかった、これも足りなかった」と落ち込みます。

加点法のメガネで見ると、
「これができた、あれもできた」と満たされます。

やったことの中身は、
まったく同じなのに、です。

減点法のメガネをかけ続ける根っこには、
ひとつの不安が眠っています。

「ありのままの私では、受け入れてもらえないかもしれない」
という不安です。

だからこそ、せめて完璧でいることで、
自分の居場所を、なんとか確保しようとしているんです。

完璧主義は「自己ジャッジ」と地続きでつながっている

減点法のメガネで自分を見ている時、
その奥では、何が起きているのでしょう?

じつは、
自分で自分を裁き続けているんです。

「ここができていない私はダメだ」 「まだこの程度しかできない私は情けない」

これは、姉妹記事「ジャッジしてしまう自分をやめたい人へ」でお伝えしている
自己ジャッジと、根っこが同じ動きです。

完璧主義は、
自分への減点という形をとった、
自己ジャッジの一種だったりします。

完璧主義の動機を言語化すると、毎日がだいぶ過ごしやすくなる

同じ「ちゃんとやろう」という行動に見えても、
その動機がどこから来ているかで、
毎日の感覚は、まるで違うものになります。

  • 完璧主義をそのまま続けてしまう方は、
    できない自分を責める声がどんどん大きくなって、
    何をしても満たされなくなっていきます。
  • 完璧主義の動機を言葉にしてみる方は、
    「私は何を怖がって、こんなにやりすぎていたんだろう」が見えてきて、
    少しずつ手を緩められるようになっていきます。

これは、内省クラスで、
相談者さんと一緒に、何度も確かめてきたことなんです。


関連した内容を別の記事でも書いています。

頑張りすぎてしまう自分をやめたい人へ|内省の専門家が伝える「いい子の頑張り」を終わらせる7つのステップaitajiri.com

■ 完璧主義には2種類ある — 苦しくなる完璧主義 と 楽しくなる不完璧主義

「完璧主義」とひとくくりにするから、
頭の中でこんがらがってしまうんですよね。

よく見てみると、
じつは中身のまったく違う2種類が混ざっています。

今のご自身がどちら寄りかを知るだけで、
付き合い方は、大きく変わっていきます。

ざっくり言うと、こんな違いです。

苦しくなる完璧主義
楽しくなる不完璧主義
❶ 出発点
恐れベース(怖いから)
好きベース(好きだから)
❷ 見方
減点法(引き算)
加点法(足し算)
❸ 物差し
他人軸(評価が基準)
自分軸(納得が基準)
❹ やめ時
やめられない
自分で決められる
❺ やった後
くたびれる・不安が残る
充実する・満ちている

【1】苦しくなる完璧主義の3パターン

(1)恐れベース型

例:「失敗したら、もう価値がないと思われる」「ミスしたら見捨てられる」

ここでの完璧さは、怖さから逃げるための行為です。

「ちゃんとやらないと嫌われる」という恐れが、
行動を動かしている。
だから、どれだけ完璧にしても、安心は長続きしません。

怖さが消えない限り、
終わりのないチェックが続いてしまいます。

(2)減点法型

例:「8割できたけど、あの2割がダメ」「できて当たり前、できなくて減点」

ここでの完璧さは、
100点を基準にして、足りないところを数える行為です。

最初から満点に置いているので、
何をしても「マイナス」しか見えません。

うまくいった部分は、当たり前として扱われる。
そして心に残るのは、「できなかった部分」だけになっていきます。

(3)他人軸型

例:「これで合格点をもらえるだろうか」「あの人に何か言われないだろうか」

ここでの完璧さは、他人の評価を物差しにした行為です。

自分が納得したかどうかではなく、
「相手にどう見えるか」が基準になっています。

だから、評価する相手がいる限り、
いつまでも気が休まらないんです。

【2】楽しくなる不完璧主義の3パターン

(1)好きベース型

例:「ここはどうしても、こうしたい」「自分が気持ちいいから、ここを整える」

ここでの不完璧主義は、
自分の本音からの「好き」が外に流れ出た形です。

誰かに見せるためではなく、
自分が満足するためにやっているので、
やっていて疲れません。

むしろ、やればやるほど、
元気が出てきたりします。

(2)加点法型

例:「ここまでできた、いい感じ」「次はもう少し良くしてみよう」

ここでの不完璧主義は、
0点からスタートして、できたところを積み上げていく行為です。

できたことが見えるので、
自分にOKを出しながら進めます。

「足りない」ではなく「ここまで来た」という感覚で、
前に進めるんですよね。

(3)自分軸型

例:「私としては、ここで十分納得」「私が決めた合格ラインに届いた」

ここでの不完璧主義は、自分の納得を物差しにした行為です。

合格ラインを自分で決められるので、
ちゃんと「やめ時」を自分で選べます。

評価する相手がいてもいなくても、
自分の中で完結できます。

あなたの完璧主義は、今どちら側?

最近、ご自身が「ちゃんとやらなきゃ」と力が入った瞬間を、
ひとつ思い出してみてくださいね。

さきほどの6パターンのうち、
いちばん近いものはどれでしたか?

ここで大切なのは、
仮に「苦しくなる完璧主義」側に当てはまっていたとしても、
ご自身を責めないことです。

心当たりがあるということは、
それだけ、これから心がほどけていく余白が、
たっぷり残されているということですから😌


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「非現実的な期待をしてしまう」あなたへ|「できて当然」を自分にも相手にも求めすぎない7つのステップaitajiri.com

■ 完璧主義の人に共通する5つのサイン

「どうして私、こんなにガチガチに完璧を目指しちゃうんだろう‥」

そう悩んで内省クラスに来られる方が、
繰り返し相談に持ってこられる、5つのサインを共有しますね。

1つでも当てはまるものがあれば、
それは、責めるべきものではありません。
ようやく自分と向き合うタイミングが整ってきた合図なんですよ。

🔍 5つのサイン・セルフチェック

  • ☐ サイン1:できた8割より、できなかった2割が気になる
  • ☐ サイン2:「終わらせる」より「完璧にする」を選んでしまう
  • ☐ サイン3:人に頼めず、全部自分で抱えてしまう
  • ☐ サイン4:「やるなら完璧、できないなら最初からやらない」になりがち
  • ☐ サイン5:褒められても、欠点ばかり指摘してしまう

サイン1:できた8割より、できなかった2割が気になる

仕事でも家事でも、ほとんどうまくいったのに、
たった1つのミスや、やり残しのことばかりが頭に残る。

「あそこ、もっとこうできたな」が、
寝る前まで、頭の中をぐるぐる回ってしまう。

このサインが出ている時、
頭の中では、こんな声が響いています。

「できて当たり前、できなくて減点」
「あの2割が、私の評価を下げる」
「うまくいった部分は、努力のうちに入らない」

これは、減点法のメガネが、
しっかりピントを合わせているサインです。

自分軸で動けている時は、
同じ1日でも「今日はこれとこれができた、上出来」と、
できた部分にちゃんとピントを合わせられたりします。

サイン2:「終わらせる」より「完璧にする」を選んでしまう

提出期限が迫っているのに、
細かいところが気になって、なかなか手放せない。

「もう十分」と頭ではわかっているのに、
何度も見直して、いつまでも完成にできない。

このサインは、
「完成させること」より「完璧にすること」が優先されているサインです。

本来、世に出して初めて意味を持つはずなのに、
自分の中の100点に届かないと、外に出せない。

そうすると、せっかくの良いものが、
いつまでも自分の手の中で止まってしまうんですよね。

サイン3:人に頼めず、全部自分で抱えてしまう

「人に任せると、自分の思った通りにならない」
「説明する手間を考えたら、自分でやった方が早い」

そう思って、気づけば、
一人で全部背負っている。

このサインが出ている時、起きているのは
「他人の60点が許せない」状態だったりします。

自分にだけでなく、周りにも完璧を求めてしまう。
だから、安心して任せられる相手が、いなくなるんです。

結果として、仕事も家事も、
どんどん自分一人に集まってきてしまいます。

ここで覚えておいて頂きたいのは、
誰かに任せることは、手抜きではないということです。

むしろ、「相手の60点を信じて預ける」というのは、
勇気のいる、立派な力なんですよね。

サイン4:「やるなら完璧、できないなら最初からやらない」になりがち

新しいことを始めようとすると、
「中途半端になるくらいなら、やらない方がマシ」と思ってしまう。

完璧にできる自信がないと、
最初の一歩が、どうしても踏み出せない。

このサインは、完璧主義が
挑戦そのものにブレーキをかけているサインです。

本当はやってみたいことがあるのに、
「うまくできないかも」という不安が、
行動の前に立ちはだかってしまう。

そうして、やりたかったことが、
どんどん「いつかやること」のままになっていくんですよね。

サイン5:褒められても、欠点ばかり指摘してしまう

誰かに「すごいね」「よくできてるね」と褒められても、
素直に受け取れない。

「いえいえ、ここがまだダメで」
「全然です、本当はもっと‥」
そうやって、自分で自分の欠点を探してしまう。

このサインは、完璧主義を、
いちばん奥で支えているものです。

減点法のメガネをかけていると、
人からのプラス評価でさえ、
自分の中で減点に置き換えてしまうんですよね。

「まだ足りない」が口グセになっているうちは、
どれだけ褒められても、心は満たされません。

しかも厄介なのが、
完璧主義を直そうとすると、
今度は「完璧に直そう」として、
また力が入ってしまう、というところなんです。

自分軸で動けるようになると、
「ありがとう、うれしい」と、
まっすぐ受け取れるようになっていきます。


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■ 完璧主義を手放す7つのステップ

さあ、ここからが、
今回の記事でいちばんお伝えしたい部分です。

「完璧主義を手放す」と聞くと、
「もう適当でいいんだ」「手を抜くことなんだ」と思いがちですよね。

でも、本当はそうではないんです。

手放すとは、
減点法のメガネを、加点法のメガネにかけ替えて、
自分にOKを出しながら進めるようになるという、
やさしい作業のことなんです。

その流れを、7つのステップに分けて、
お話ししていきますね。

ぜんぶを一気にやらなくて大丈夫です。
今のあなたの心にいちばんしっくり来る1つだけでも、
始めて頂ければ、それで十分すぎるくらいなんですよ😌

🗺 7つのステップ 全体マップ

  1. 1「あ、今いつものメガネかけてるな」と気づく
  2. 2完璧主義の奥にある「不安」を言語化する
  3. 3「上出来ライン(60点で合格)」を先に決めておく
  4. 4減点法を加点法に塗り替える
  5. 5「わざと60点で出す」小さな実験をしてみる
  6. 6苦しくなる完璧主義を、楽しくなる不完璧主義に入れ替える
  7. 7「不完全な自分への尊重」を育てる

Step 1:「あ、今いつものメガネかけてるな」と気づく

最初の一歩は、見た目はすごく地味なのに、
いちばんよく効く一歩です。

「もっとちゃんとしなきゃ」「まだ足りない」
そんな声が湧いた瞬間に、
心の中で、こうつぶやいてみてくださいね。

「あ、今、減点法のメガネかけてるな」

本当に、それだけでOKなんです。

完璧を求めてしまう自分を、
否定しない・責めない・消そうとしない。

少し離れたところから、自分を見守るような目で、
眺めてあげてみてくださいね。

これを続けていくだけで、
完璧主義は、急に勢いをなくしていきます。

完璧主義は、
気づかれていない時がいちばん強いからなんですよね。

気づかないままだと、
いつまでも自分を減点し続けてしまいます。

ところが、
「あ、今、できない所だけ数えてるな」と気づけた瞬間、
その動きは少し勢いが落ちて、
自然にゆるんでいくんですよ。

「気づく」と「やめる」は、同じことではありません。
でも、気づかなければ、やめることもできないんです。

気づきを助けてくれる、
こんな問いかけもおすすめですよ。

「今、私は100点から引き算してる? それとも0点から足し算してる?」

このひと言を自分に投げかけるだけで、
心の中のメガネがどっちなのかが、
はっきり見えるようになっていきます。

Step 2:完璧主義の奥にある「不安」を言語化する

Step 1で「あ、今、減点法のメガネかけてるな」と気づけたら、
次に、こう自分に尋ねてみてくださいね。

「私はもし、これを完璧にできなかったら、何が起きると思っているんだろう?」

完璧主義の奥には、ほぼ必ず、
「こうなったら怖い」という具体的な不安が隠れています。

  • ミスしたら、能力がないと思われる
  • 雑にやったら、見捨てられる
  • 隙を見せたら、つけ込まれる
  • 期待に応えられなかったら、価値がなくなる
  • 不完全な姿を見せたら、嫌われる

こうした不安は、決しておかしなものではありません。

冒頭でもお伝えしたとおり、完璧主義は、
「不完璧なままで十分」を知らないところから、
自然に生まれてくる習慣です。

だから、不安があること自体を、
責める必要はまったくないんです。

ある内省クラスの相談者さんは、
長年「何でもきっちりやる人」として生きてこられた方でした。

このStep 2を試して頂いたら、出てきた答えは、
「ちゃんとできない私を見せたら、いらない人扱いされる」でした。

そして、さらに掘り下げると、その奥には、
「子どもの頃、できた時だけ親が機嫌よくしてくれた経験」が、
見えてきたんです。

「完璧=愛される条件」という思い込みが、
大人になっても、心の仕組みに残り続けていたんですね。

こんな風に、不安を言語化すると、
完璧主義の背景にある「自分が本当に欲しかったもの」が見えてきます。

その相談者さんが本当に欲しかったのは、満点の成果ではありません。
「何もできなくても、ここに居ていい」という安心だったんです。

ここまで来れば、
完璧さで安心を買い続ける必要は、もうなくなっていきます。

Step 3:「上出来ライン(60点で合格)」を先に決めておく

ここからは、少し勇気のいる行動に入りますよ。

完璧主義を手放すには、
「気づいたら手を緩めよう」という、
気合いだけのやり方では、なかなか間に合いません。

気づいた頃には、
もう100点を目指すスイッチが入ってしまっているからです。

代わりに、取りかかる前に「上出来ライン」を先に決めておくのが、
効果的です。

「ここまでできたら、もう合格にする」というラインを、
先に自分で引いておくんです。

わたしはこのラインを、「上出来ライン」と呼んでいます。

「8割で十分」と思えるようになるための練習として、
最初の合格点は、あえて60点くらいに、
置いておくのがおすすめです。

例えば、

・資料づくり → 「伝わる形になったら合格。見た目の細部は気にしない」
・部屋の掃除 → 「目につく所が片づいたら合格。引き出しの中までやらない」
・食事づくり → 「あたたかいごはんが出せたら合格。品数は問わない」

最初は、60点で手を止めることに、
強い罪悪感が湧きます。

「こんな中途半端でいいの?」「もっとできるのに」
そんな声が、頭の中で響きます。

その声に、こう返してみてくださいね。

「60点でちゃんと完成。
100点を目指して止まり続けるより、
60点で前に進む私の方が、ずっと健やかです。」

上出来ラインを先に決めておくと、
完璧主義のスイッチが入る前に、手を止められます。

そして、
「60点で出しても、世界は終わらなかった」という体験を重ねるうちに、
心の合格ラインそのものが、だんだんゆるんでいきますよ。

Step 4:減点法を加点法に塗り替える

ここが、今回の記事の大事な分かれ目になります。

完璧主義の正体は、くり返しお伝えしてきた通り、
「減点法のメガネ」でした。

このメガネを、
加点法のメガネにかけ替える練習をしていきましょう。

やり方は、すごくシンプルです。

1日の終わりに、
こう自分に問いかけてみてくださいね。

「今日、できなかったことは数えない。できたことを、3つ数えてみよう。」

最初は、なかなか思い浮かばないかもしれません。

減点法のメガネに慣れていると、
「できたこと」が当たり前すぎて、目に入らないからです。

それでも大丈夫です😌

ちっちゃなことで構わないので、
無理やりにでも、3つ探してみてくださいね。

  • 朝、ちゃんと起きられた
  • 期限に間に合わせた
  • 家族にひと言、やさしい言葉をかけられた

「こんな小さいこと?」と思うかもしれません。

でも、その小さいことを数え始めた瞬間から、
心のメガネは、加点法に切り替わり始めます。

塗り替えのコツは、
「足りない」を「ここまで来た」に言いかえることです。

減点法のメガネ(引き算)
加点法のメガネ(足し算)
❶
「まだ8割しかできていない」
「もう8割もできた」
❷
「あの2割がダメだった」
「8割うまくいった、上出来」
❸
「完璧じゃないと意味がない」
「ここまでできたら十分価値がある」
❹
「できて当たり前」
「できたこと、ちゃんとえらい」
❺
「もっとやらなきゃ」
「今日はここまでで、よくやった」

文字に起こしてみると、
扱っている事実はまったく同じなのに、
心に残るものが正反対だとわかります。

事実を変えるのではなく、
事実の見方を変える。
塗り替えでやるのは、これだけなんです。

この言いかえは、
最初はぎこちなく感じるかもしれません。

でも、くり返すうちに、
自分を減点しかけた瞬間に、
ほぼ自動で加点法に切り替えられるようになります。

そこまで来ると、毎日が、
「できなかったことの反省会」ではなく、
「できたことの確認会」に変わっていきますよ。

Step 5:「わざと60点で出す」小さな実験をしてみる

ここまで来たら、
頭で分かったことを、体で確かめる番です。

完璧主義は、頭で「ゆるめよう」と思うだけでは、
なかなか手放せません。

「60点で出しても大丈夫だった」という体験を、
体に通してあげる必要があるんですよね。

そこで、小さな実験をひとつ、おすすめします。

日常の中で、
あえて60点くらいで止めて、外に出してみるんです。

例えば、

・メールの返信を、推敲しすぎずにサッと送ってみる
・完璧に準備できていなくても、その場の話に飛び込んでみる
・「もうひと手間」と思った所で、あえて手を止めて提出してみる

実験のポイントは、
「結果がどうだったか」をちゃんと観察することです。

ほとんどの場合、こう気づきます。

「あれ、60点で出したのに、誰も困っていなかった」
「むしろ、早く出したことを喜ばれた」
「私が気にしていた2割に、相手は全然気づいていなかった」

この体験が、
心の中の「不完璧な私はダメ」という思い込みを、
少しずつ溶かしていきます。

頭で100回「大丈夫」と唱えるより、
1回の「大丈夫だった」という体感の方が、
ずっと深く効きます。

折り目の少しゆがんだ紙飛行機が、白い余白へ飛んでいく
※挿絵はイメージです

最初は、心臓がドキドキするかもしれません。
それで大丈夫です。

そのドキドキこそ、
長年の思い込みがゆるみ始めているサインですから。

小さな実験を1つずつ重ねるたびに、
「不完全でも、ちゃんと生きていける」という確信が、
体に積み上がっていきますよ。

Step 6:苦しくなる完璧主義を、楽しくなる不完璧主義に入れ替える

前半でお伝えした、
「苦しくなる完璧主義」と「楽しくなる不完璧主義」。

このステップでは、その境目を、
自分の手で引き直していきます。

「苦しくなる完璧主義」の構造は、こうなっています。

❌ 「苦しくなる完璧主義」の構造

嫌われたくない恐れ
(大きな主役)
+
自分の好き
(隅っこに少しだけ)

「楽しくなる不完璧主義」の構造は、こうです。

⭕ 「楽しくなる不完璧主義」の構造

自分が好きでやる喜び
(主役)
+
結果としての評価
(自然についてくる)

完璧主義を「全部やめなきゃ」と思うのが、
じつは罠なんですよね。

完璧を求めること自体は、悪いことではありません。
ただ、主役が「恐れ」なのか「好き」なのか、その位置が違うだけなんです。

取りかかる前の一言は、こうです。

「私はこれを、怖いからではなく、好きだから、できる範囲でこだわる。」

たったこのひと言を、取りかかる前に唱えるだけ。
それだけで、苦しくなる完璧主義は、
楽しくなる不完璧主義に変わり始めます。

「怖いから」を「好きだから」に。
そして、「徹底的に」を「できる範囲で」に。

この2か所を入れ替えるだけで、
同じ行動が、まるごと別の手触りに変わるんです。

判別の問いは、1つだけです。

「これは、怖くてやめられないのか? それとも、好きでやっているのか?」

怖くてやめられないなら、苦しくなる完璧主義。
好きでやっていて、いつでも自分の意志でやめられるなら、
楽しくなる不完璧主義です。

この問いを習慣にすると、自分の中の、
「手放すべき完璧主義」と「大切にしていい不完璧主義」が、
自然と仕分けされていきます。

完璧主義を全部消すのではなく、
苦しい部分だけを、少しずつ手放して、
好きな部分は、大事に残す。

それが、健やかな手放し方なんですよね。

Step 7:「不完全な自分への尊重」を育てる

最後のステップは、角度を変えて、
完璧主義を扱うときの「自分との接し方」の話です。

これまで「完璧な自分」しか許してこなかった方にとって、
不完全な自分を受け入れるのは、
最初はすごく落ち着かない感覚です。

「こんな私でいいの?」
「もっとちゃんとしなきゃいけないのでは?」
そんな風に、不安になったりします。

でも、ここで大切なのは、
自分へのジャッジを、自分への尊重に塗り替えていくことです。

これは、姉妹記事「ジャッジしてしまう自分をやめたい人へ」でお伝えしている
サバキ→尊重の塗り替えと、根っこが同じ作業です。

ジャッジ(裁き)は、
「できていない私はダメ」と自分を減点します。

尊重は、
「できない部分も含めて、これが私」と、自分をまるごと認めます。

不完全な自分を尊重したい時は、
心の中で、こんな風に自分に声をかけてみてくださいね。

「完璧じゃない私のままで、ここに居ていい。」

最初は、嘘くさく感じるかもしれません。
それで構いません。

人は、長年抱えてきた思い込み(完璧=愛される条件)を変える時、
最初は強い違和感を感じるものです。

でも、この違和感を超えて声をかけ続けると、ある日、
「あ、本当にそうかもしれない」と、
心から納得できる瞬間がやってきます。

日常の小さな場面で、
こんな風に自分に声をかけてみるのも、おすすめですよ。

「ミスした私、まあ人間だもんね」 「全部できなくても、私は私で大丈夫」

人によって早さは違いますが、
最初の1週間は、
「本当かなあ」と頭に?が浮かぶかもしれません。

2週間目から、なんとなく、
そう思えてくることもあります。

3週間目には、
「不完全な私、意外と悪くないかも」と、
自分の中で思える瞬間が増えていきますよ。

このワークは、即効性はないですが、
少しずつ積み上がっていきます。

思い出すたびに、自分につぶやくだけで、
長年こびりついた「完璧=条件」が、
だんだん溶けていく変化を、体験できますよ。


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■ 完璧主義を手放した人に起こる3つの変化

7つのステップをじっくり重ねていくと、
完璧主義との関係は、少しずつ変わっていきます。

変わった後の景色は、
変わる前からは想像しにくいものです。

ここでは、内省クラスで実際に相談者さんたちが体験されてきた、
3つの変化をお伝えしますね。

📊 完璧主義を手放すと、こう変わる

Before(完璧主義時代)
After(手放したあと)
❶
やり終えても不安が残る
「これで十分」と思えて満ちる
❷
なかなか手放せず時間がかかる
早く出せて、行動の量が増える
❸
人に頼めず一人で抱える
安心して人に任せられる

変化1:心が軽くなって、毎日が満ちる

これが、最も体感的な変化です。

以前なら、何をやり終えても、
「まだ足りない」という不安が、ずっと胸に残っていた。
できたことは当たり前で、
できなかったことばかりが、頭にこびりついていた。

ところが、加点法のメガネに切り替わると、不思議なことに、
「今日も、これだけできた」と満ちる感覚が育っていきます。

理由はシンプルです。
減点法のメガネは、どこまでいっても満点に届かないからです。

見方を加点法に切り替えた分だけ、
心は満たされていきますよ。

やっている量は変わらないのに、
夜の気分が変わっていきます。

「今日も詰めが甘かった」と反省して眠るのではなく、
「今日もよくやったな」と思って眠れるようになっていくんです。

変化2:行動が早くなって、結果がついてくる

完璧主義を手放すと、面白い現象が起きます。

完璧さへのこだわりは減るのに、
結果は、むしろ良くなっていったりするんです。

完璧主義で抱え込んでいた頃は、
1つのことを手放せず、
ずっと自分の手の中で温めていました。

ところが、上出来ラインで前に進めるようになると、
早く外に出して、反応を見ながら良くしていけるようになります。

頭の中で100点を磨き続けるより、
60点を出して相手の声を聞いた方が、
結果として、良いものになりやすいんです。

そして、行動の量が増えると、
その分だけ、チャンスも増えます。

完璧を待っている間に止まっていた時間が、
動き出す時間に変わっていくんです。

変化3:自分にも他人にも、やさしくなれる

完璧主義を手放すと、自分との関係が変わります。

「完璧にできなくても、私はここに居ていい」 「ミスする私も、雑な私も、まるごと私だ」

そう自分を見られるようになると、
自然と、自分への尊重が深まります。

そしてこれは、人間関係のあらゆる場面に波及します。

自分の不完全さを許せる人ほど、他人の不完全さも許せる。 他人の不完全さを許せる人ほど、安心して人に頼める。 安心して人に頼める人ほど、一人で抱え込まなくなる。

すべての出発点は、
不完全な自分をどう扱うか、なんです。

そしてもう1つ、見落とされがちな変化があります。

それは、
誰かのミスに出会った時の反応が変わることです。

以前なら、誰かが雑な仕事をした時、
心の中で「ちゃんとやってよ」と、イラッとしていたかもしれません。

ところが、自分の完璧主義を言語化できるようになった人は、
相手のミスを、減点法のメガネで裁かなくなります。

「ああ、この方も、不完全な自分を出すのが怖かったのかもしれないな」

そんな風に、相手の心の仕組みを、
あたたかい眼差しで眺められるようになるんです。

これは、相手を見下すことではありません。

自分も同じ場所を通ってきたからこそ、
相手の気持ちがわかるんです。

そして、この理解は、人間関係の中で、
大きな支えになっていきます。


関連した内容を別の記事でも書いています。

自分で決められないのは性格じゃない|正解探しから抜け出す7つのステップaitajiri.com

■ よくある誤解と、つまずきポイント

ここでは、完璧主義を手放す道のりで、
多くの方が、必ずと言っていいほど通る誤解を、
3つだけお伝えしておきますね。

誤解1:「完璧主義をやめる=手抜き人間になる」ではない

「それって、いい加減になるってこと?」
「雑な人になるのでは?」

完璧主義を手放そうとすると、
そう心配される方がいらっしゃいます。
でも、全く違います。

いい加減な人とは、
自分の納得もこだわりも持たず、何も大切にしない人のことです。

完璧主義を手放すとは、いい加減の反対方向の作業です。

変わるのは、「100点でないと出せない」という、
自分を縛るルールが外れることだけなんです。

誤解2:「不完全な私には価値がない」ではない

これは、完璧主義の方の、いちばん深い縛りです。
完璧さと価値が、心の中でガッチリ結びついている。

でも、ここまで読んで頂ければわかるように、
完璧さと価値は、別の次元の話です。

完璧さは、その時々の出来栄えに対する、一時的な評価。
価値は、あなたが存在しているだけで、もう揺るがないものです。

完璧にできるかどうかは、
あなたの価値の証明ではありません。

あなたはすでに、不完全なまま、十分に価値ある存在として、ここにいます。

誤解3:「完璧主義は性格だから、もう直らない」ではない

「私は昔から完璧主義だから、もう変われない」
そう諦めている方も、いらっしゃるかもしれません。
これも、誤解です。

完璧主義は「性格」ではなく、
減点法のメガネをかけ続けてきた習慣のことです。

習慣は、性格と違って、
いつからでもかけ替えられます。

何かを大切にする感受性そのものは、
消せませんし、消す必要もありません。

でも、自分を減点するクセは、
加点に切り替えられるスキルです。

スキルなので、誰でも、いつからでも、
身につけていけるんですよね。


■ おわりに:あなたはもう、十分に足りている

ここまで、完璧主義をやめたい自分との向き合い方を、
内省クラスでお話ししている内容をベースに、お伝えしてきました。

冒頭でお話しした、
契約が取れなかった頃のわたしは、
そこから、ジャッジする目を、
いったん外しました。

そして、自分に何が足りないのかを、
素直に学ぶことから始めたんです。

学んでいく過程で、
やれることが、少しずつ増えていきました。
小さいけれど、それを実感できたときに、
自信が、ほんの少しずつ積み上がっていったんです。

そうやって、わたしは、
あの頃を切り抜けてきました。

完璧主義は、
いまから頑張って手放すものではないんです。

あなたの中には、もうすでに、
「欠けたままで十分」と感じられる感覚が、
ちゃんと備わっています。

ただ、その感覚に、
「100点じゃないとダメ」という長年の思い込みが、
上から蓋をしてしまっていただけなんですね。

その思い込みを、
一気に全部外そうとしなくて大丈夫です。

自分への見方を、少しずつ加点法に変えてあげるだけで、
もともとあったその感覚は、
自然と顔を出してきてくれますから。

「完璧をやめよう」と力む必要も、ぜんぜんありません。

むしろ、「やめること」まで完璧にやろうとすると、
また同じループに入ってしまいますしね。

「あ、今、減点法のメガネかけてるな」と気づけたら、
もう、それだけで十分なんです。

たたんで机に置かれたメガネ

そして、ひとつ嬉しいことをお伝えしておきますね。

完璧主義を手放した人の毎日は、これまでよりも、
軽くて、あたたかくて、満ちたものに変わっていきます。

「不完全な私のままで、ちゃんと足りているんだ」
そんな当たり前のことが、心の中にすとんと落ちてきた時、
世界の見え方は、びっくりするくらい優しくなっていくんです😌

ご多忙の中、最後までお目通し頂きありがとうございます。 今日も、ご自身の心の声に耳を澄ませて、自分にたくさんの愛情を注いで差し上げてください🙏

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